建設業における死亡災害を種類別にみると、墜落によるものが最も多く、その中でも足場からの墜落が特に多くなっています。このため、足場からの墜落災害を撲滅することは、建設業における死亡災害を防止する上で最重要の課題といえます。その課題を解決する対策の一つとして、組立て・解体を行う作業床の最上層に常に手すりがある「手すり先行工法」による足場の設置が有効であるとの観点から、平成15年4月、厚生労働省において「手すり先行工法に関するガイドライン」が策定され、平成21年3月には、建設業における足場からの墜落等に係る労働災害防止対策の一層の推進のため、「手すり先行工法等に関するガイドライン」として改定されました。手すり先行工法は、組立て時には作業床の最上層にあたる部分に手すりを先行して設置し、かつ、解体時には最上層の作業床を取り外すまで手すりを残す工法です。この工法による足場の設置を行うことにより、足場からの墜落災害を防止する大きな効果が期待できます。本ガイドラインは、労働安全衛生関係法令と相まって、足場の設置を必要とする建設工事において、『手すり先行工法』による足場の組立て、解体又は変更の作業を行うとともに、『働きやすい安心感のある足場』を使用することにより、労働者の足場からの墜落等を防止し、併せて快適な職場環境の形成に資することを目的とする。事業者は、足場の設置を行う作業箇所等に係る事前調査を行うとともに、足場に係る施工計画として、足場計画、機材管理計画、作業計画、機械計画、仮設備計画、安全衛生管理計画及び工程表を策定し、関係労働者に周知すること。2.足場に係る施工計画の実施及び変更時の措置事業者は、1で策定した足場に係る施工計画及び手すり先行工法による足場の組立て等に関する基準に基づき、手すり先行工法による一連の作業を適切に行うこと。また、当該施工計画を変更する必要が生じた場合は、事前に関係者と十分に検討を行うものとし、変更した施工計画は関係労働者に周知すること。ア 足場の組立て等の作業の監視 足場の組立て等の作業を行うときは、足場の組立て等作業主任者に労働安全衛生規則第566条に規定する作業の進行状況等の監視を行わせるとともに、手すり先行工法による足場の組立て等に関する基準の3及び4に示す各機材等の使用状況についても監視させること。イ 足場の組立て等の作業後の点検 足場の組立て等の作業を行った後においては、(2)のアにより指名された点検者によって、(2)のイにより作成した点検表を用いて労働安全衛生規則第567条第2項に規定する点検を実施するとともに、働きやすい安心感のある足場の基準の3のメッシュシート等の設置状況についても点検を行い、異常を認めたときは直ちに補修すること。ウ 作業開始前点検 足場を使用する作業等を開始する前に、職長等当該足場を使用する労働者の責任者から点検者を指名し、労働安全衛生規則第567条第1項の点検を実施すること。(2)点検等の実施体制ア 点検者の指名 (1)のイの点検の実施者については、原則として、足場の組立て等作業主任者、元方安全衛生管理者等であって、足場の点検について、労働安全衛生法第19条の2に基づく足場の組立て等作業主任者能力向上教育を受講している等十分な知識、経験を有する者を指名すること。イ 点検表の作成 (1)のイの点検については、足場の種類・機材に応じた点検等を行う項目を定めた点検表を作成すること。ウ 点検・補修結果等の記録及び保存 点検等の結果及び当該点検の結果に基づいた補修等の内容については、労働安全衛生規則第567条第3項に基づきイの点検表に記録し、必要な期間保存すること。【留意すべき事項】1.足場の構造上の留意事項2.足場の組立て等の作業における留意事項3.足場の点検等に関する留意事項(1)点検等の実施【目的】【適用対象】本ガイドラインは、足場の設置を必要とする建設工事に適用する。【講ずべき措置】1.足場に係る施工計画の策定は じ め に手すり先行工法等に関するガイドラインの概要
元のページ ../index.html#80